ニート族問題が深刻?韓国のニート族問題を調査しました!
韓国ではニート族問題が深刻?
皆さんは、韓国の「니트족(ニットゥジョㇰ)」という新造語をご存じですか?
ピンと来た方もいるかもしれませんが、日本語でいう「ニート(NEET)」を表しています。
つまり、直訳すると「ニート族」という意味。
韓国では、このニート族問題が深刻化しているんです。
そこで今回は、深刻化している韓国のニート族問題を深掘りしてみたいと思います。
それでは、早速見ていきましょう♪
韓国のニート族の定義とは?
NEETは「Not Education, Employment, Training」の頭文字を取った言葉。
日本ではニートの定義を「15~34歳で、非労働力人口のうち家事も通学もしていない人」としています。
韓国も日本とほぼ同定義で、就職活動や就職準備をしておらず、アルバイトや家事もせず、家でただ過ごしている青年無職者(約15~29歳)がいわゆる「ニート族」となります。
韓国にニート族はどのくらいいるの?
韓国の統計庁が経済活動人口青年層(15~29歳)付加調査を行った結果によると、2023年5月基準で学校卒業(修了・中退含む)後、3年以上未就職状態である青年は21万8,000人となりました。
その中で、求職活動をせずに「家などでただ時間を過ごしている」と答えた青年は8万人に。
これは、長期未就職青年の36.7%を占めている数字です。
つまり、長期未就職青年の10人中4人は、働く意思のないニート族ということ。
青年ニート族の割合は上記同基準で2018年は24.0%、2019年は24.7%、2020年は25.5%と過去は20%台に留まっていました。
しかし、2021年には34.7%で30%台を突破すると、昨年は37.4%を記録し、本格的に30%台で定着することに。
これは新型コロナウイルス感染症の拡散時期よりも今、青年ニート族が増えているという数値です。
ちなみに、年齢の範囲を青年年齢である34歳以下まで広げると、3年以上の長期ニート族は12万6,000人に達するとも言われています。
一方で雇用率はというと統計庁が発表した今年9月の雇用動向によると、15歳以上の全体雇用率は63.2%。
なんと、これは1982年7月の月間統計作成以来、9月基準で最も高い数値なんです!
雇用率は統計作成以後、過去最高値を記録し、中小企業は求人難に苦しんでいる状況だとか。
それなのに、ニート族が増えている理由はなんなのでしょうか?
ここからは、韓国でニート族が増えている理由について迫ってみたいと思います。
韓国でニート族が増えている理由とは?
雇用率が高くなっているにもかかわらず、若いニート族が増えている最も大きな理由としては、質の良い正規職の働き口が少ないという点が挙げられています。
雇用の安定性と賃金などで相対的に劣悪な働き口に就職するよりは、むしろ休んでいる方がマシという考え方ですね。
また、若者の場合は中小企業や3D業種(危険・退屈・汚いといった人の嫌がる仕事)に行きたがらない現象が目立っています。
青年層は基本的に給与だけでなく、福利厚生などの多方面で大企業を好み、大企業就職希望者の比重は着実に上昇している状況です。
しかし、人気のある大企業は競争率が高く狭き門であり、卒業後に就職準備をしても希望する働き口と実際に行ける働き口のミスマッチング現象が生じているのも事実。
そして、学校を卒業後、3年が過ぎると就職自体をあきらめてしまう割合が増えるとも分析されています。
実際に就職のための活動比重を見てみると、未就職期間が6ヶ月未満の時は53.0%、1~2年未満の時は58.2%で50%台を記録していますが、未就職期間が3年以上になると36.5%に急減し、一気に就職のための活動比重が落ちてしまうというデータが出ています。
ここで言う「就職のための活動」とは求職活動・職業訓練・就職試験準備のために図書館・塾に通う比率などを合わせたものです。
学校卒業後3年までは就職のために求職活動を試みてみますが、結果が良くなくて就職に失敗すると「就職放棄者」となって家に閉じこもってしまうケースが多いよう。
それを示すように、ニート族は未就職期間が3年以上の割合が最も多いんです。
未就職期間別に見ると、未就職期間が3年未満の場合のニート族の割合は10~20%程度で推移していますが、3年以上になると一気に36.7%まで、その比率は上がっています。
韓国のニート族増加が抱えている問題とは?
韓国政府もニート族の増加を黙って見ているわけではありません。
早急に手を打とうとしているのですが、その理由は働かない若者の割合が増えると、経済活力が落ち、さらには恋愛や結婚・出産にも影響を及ぼすから。
実際に青年期にニート族だった人は、そうでない人よりも結婚する確率が10%低いという韓国労働研究院の研究結果も出ています。
さらには、仕事が見つからず家に閉じこもって社会と断絶する若者も増えています。
全国的に見ると、孤立してしまった青年は約51万人、家から出てこない引きこもりの青年も24万7,000人と推算されているのが現状。
彼らの10人中7人は希望する時期に就職できず、半分以上が希望する職場や学校に入ることができなかった失敗の経験があると答えています。
ある20代の引きこもりの青年は『どこに行っても競争。「自分が他人より劣っているからだ」と自分の中で、いつも挫折を経験してきました。
(一日に)18時間ずつ寝て、たまに夜中にコンビニに行って何か買って食べて・・・』と自身の生活を語っています。
なんだか、聞いているだけでとても切なくなりますね。。
こうした現状の背景には、過度の競争社会である韓国社会の雰囲気もあるものとみられています。
イギリスのBBCも韓国の若者たちは社会の高い期待にプレッシャーを感じ、自ら孤立の道を選択しているという分析を出しているほど。
青年たちを世の中の外に導く政府の政策的な支援ももちろん重要ですが、根本的に社会の雰囲気を変えなければならないという声も出ているようです。
【まとめ】ニート族問題が深刻?韓国のニート族問題を調査しました!
今回は、韓国のニート族問題を取り上げましたが、いかがでしたでしょうか?
若者の意欲の問題と言うよりは、若者が希望する職場の求人が増えていけば状況はよくなりそうですが、求人が増えるためには経済・景気が良くならないといけないため、社会全体で取り組むべき問題だと感じました。
ニート期間が長ければ長くなるほど、抜け出すことが難しくなりそうなので、日本も同様ですが早急に政府には対策を講じて欲しいものですね。
今後も韓国社会のイシューを追っていきたいと思うので、ご期待ください!