韓国の「年齢の数え方」が変わったの知ってる?制度変更を解説

韓国は日本と年齢の数え方が違う、という話を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
これまで、韓国では独特の計算方法が使われてきました。
生まれた瞬間に1歳とカウントし、さらに毎年1月1日に全員が年を取るという、ちょっと不思議なルールです。
しかし2023年、そんな韓国式の年齢制度に大きな変化が起こりました。
韓国政府が「年齢の数え方を一本化する」という法案を施行したのです。
この記事では、「そもそも韓国の年齢ってどう違うの?」「なんで制度が変わったの?」「今はどう数えてるの?」といった疑問にやさしくお答えしていきます。
ちょっとした豆知識として、ぜひチェックしてみてください!
韓国の年齢の数え方

引用元:https://www.photo-ac.com/
韓国の年齢の数え方には、複数の方式があります。
それが、「数え年」「韓国式年齢」「満年齢」。
数え方次第で、同じ人でも年齢が1〜2歳違ってくることもあるんです。
ここでは、それぞれの年齢の数え方についてわかりやすく説明していきます。
数え年とは?
数え年は、伝統的なアジア圏、とくに中国・韓国・日本などで古くから使われていた年齢の数え方です。
韓国でも長年、公式・非公式を問わず広く使われてきました。
特徴的なのは「生まれた瞬間に1歳と数える」点。
そして「1月1日を迎えるたびに1歳加算される」というルールです。
たとえば、12月31日に生まれた赤ちゃんは、生まれたその日に1歳、翌日の1月1日にはもう2歳になってしまうという驚きの計算方法です。
この数え方は、誕生日の記録がなかった時代や、「長く生きた方が縁起がいい」とされた価値観のもとで広まりました。
現代の感覚ではやや非合理的に感じるかもしれませんが、年配の世代を中心に、今でも親しまれている場面もあります。
たとえば、旧正月の挨拶や、年齢に関する伝統行事などでは、「数え年」でのやりとりが残っていることもあります。
韓国式年齢とは?
韓国式年齢は、数え年の文化をベースに、韓国独自のスタイルとして定着していた年齢の数え方です。
最大の特徴は、「その年の満年齢に1歳を足す」というシンプルなルール。
計算式は「現在の西暦 − 生まれた西暦 +1」となります。
この方法では、誕生日を迎えていなくても、年が変わると全員が一斉に歳をとるという感覚になります。
これにより、たとえば「1995年生まれの人は同い年」といった認識がとてもわかりやすくなり、学年や兵役、社内の年齢序列などを整理しやすいというメリットがありました。
その一方で、正確な年齢があいまいになったり、国際的な年齢基準とズレたりする問題も指摘されていました。
特に国際交流が増えた現代では、「自分の年齢をどう伝えるか」に戸惑う若者も少なくありませんでした。
満年齢とは?
満年齢は、日本をはじめ世界中で一般的に使われている、「誕生日基準の年齢の数え方」です。
生まれた日を0歳とし、誕生日を迎えるごとに1歳ずつ加算されていくという、最も論理的でシンプルな計算方法です。
韓国ではこれまで、法律や医療、行政手続きの場面ではこの満年齢が使われていました。
韓国の年齢制度が変わった理由

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独特な年齢の数え方が長く続いてきた韓国ですが、なぜ「満年齢」に統一されたのでしょうか。
ここでは、制度が変わった理由をわかりやすく解説していきます。
数え方がバラバラで混乱が起きていた
韓国で年齢の数え方が変わった理由は、ズバリ「わかりにくいから」です。
韓国ではこれまでご紹介したとおり、3つの年齢の数え方が混在して使われていましたが、その使い分けに明確なルールがなく、国民の間で混乱が生じていたのです。
たとえば、日常生活では「韓国式年齢」で自分の年齢を言う人が多く、友達同士の会話やSNSの自己紹介ではこの年齢が使われていました。
一方で、病院の診察や法的な手続き、学校の入学基準、国家試験の受験資格などは「満年齢」が使われていました。
このように、同じ人が「何歳か?」という問いに対して複数の答えを持っている状態だったため、場面によっては自分の年齢を言い換えなければならず、「結局どの年齢が正しいの?」と戸惑う人も多くいました。
特に、外国人とのやりとりや書類記入の際など、国際的な場面で誤解が生じることも多かったため、年齢制度の統一を求める声が年々強くなっていったのです。
年齢によって損をするケースもあった
年齢の数え方がバラバラだったことで、思わぬ損をしてしまうケースも少なくありませんでした。
たとえば、ある制度で「30歳未満」という条件があった場合、韓国式年齢では30歳でも、満年齢ではまだ28歳や29歳という人もいます。
このように、数え方の違いで本来は対象なのに除外されてしまうことがあったのです。
保険の加入条件や、就職・転職の年齢制限など、人生に関わる場面でこうした不公平が生じるのは大きな問題ですよね。
「年齢のせいで選択肢が狭まるのはおかしい」と、不満や疑問の声が多く上がるようになりました。
また、公共サービスや福祉制度の対象年齢でも混乱が発生していました。
「いつから支給されるの?」「自分は対象なの?」といった不安の声が絶えず、制度の運用側でもトラブルや調整の手間が発生していたのです。
こうした積み重ねが、「もう統一したほうがいい」という世論を後押しする大きなきっかけになりました。
韓国の年齢制度はどう変わった?

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2023年、韓国では長年使われてきた「数え年」や「韓国式年齢」を廃止し、すべての場面で満年齢を使うことが法律で決まりました。
では、具体的にどのように変わったのでしょうか?
ここでは、新制度の内容や実際に起きた変化をわかりやすく紹介します。
2023年から「満年齢」一本化へ
国民の混乱や不満を受けて、韓国政府は2022年12月、「年齢制度統一法案」を国会で可決。
翌年、2023年6月28日から「満年齢の一本化」が正式にスタートしました。
つまり、公的な書類や契約、日常のやり取りを含め、すべての場面で満年齢を使うことが定められたのです。
また、この変更によって、多くの韓国人が実質1〜2歳若返るというちょっとユニークな変化も起こりました。
生活への影響
年齢制度の変更によって、法律や制度の面ではさまざまなメリットが生まれました。
たとえば、健康保険や年金、就職・受験の年齢制限などが満年齢で統一され、制度上の「ズレ」や「不公平感」が減ったのは大きなポイントです。
また、書類に記載する年齢も満年齢に一本化されたため、公的な場での混乱はだいぶ軽減されたと言われています。
一方で、日常会話ではいまだに韓国式年齢を使う人も多く、「完全に満年齢が浸透した」とは言えないのが現実。
友人との会話や誕生日の話題になると、「韓国式で○歳だけど、満では…」といったやりとりが続いているのが実情です。
特に年上・年下の関係が大事にされる韓国では、年齢の感覚が曖昧になると上下関係の距離感が取りづらくなるという声も。
このあたりは、制度が変わってもすぐに変化するのは難しい文化的な部分かもしれません。
つまり、制度的にはすっきりしても、社会全体での「年齢の捉え方」はまだ移行期間のまっただ中。
日常と制度のギャップが埋まるには、もう少し時間がかかりそうです。
まとめ|韓国の年齢の数え方は今後もっとわかりやすく!
韓国の年齢の数え方は、2023年の制度変更によって「満年齢」に一本化され、日常的にも統一化が進められています。
これまで長く使われてきた「数え年」や「韓国式年齢」は、今後少しずつ姿を消していくかもしれません。
とはいえ、世代によっては今でも昔ながらの数え方に親しみを持つ人も多く、文化として完全に消えるわけではなさそうです。
日本ではあまり馴染みのない考え方かもしれませんが、こうした背景を知っておくと、韓国旅行やドラマの中にちょっとした発見があるかもしれませんね。