ノーベル文学賞を受賞した韓国のハン・ガン作家とは?

韓国で初のノーベル文学賞受賞者となったハン・ガン作家を大解剖!

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2024年に韓国を歓喜に沸かせたニュースと言えば、ハン・ガン作家のノーベル文学賞受賞。
韓国では、2000年にキム・デジュン元大統領が平和賞を受賞したのに続き、2人目のノーベル賞受賞となりました。
ちなみに、アジア出身の作家がノーベル文学賞を受賞したのは、2012年の中国の莫言氏以来12年ぶり。
アジア出身の作家で見ていくと、インドのラビンドラナート・タゴール(1913年)、日本の川端康成(1968年)、大江健三郎(1994年)、莫言(2012年)に続き5人目の受賞となります。
アジア出身の女性としては初めての受賞ですね。
今回は、世界的に共感を生んだハン・ガン作家の作品の特徴や経歴などについて、徹底解剖していきたいと思います。
それでは、早速見ていきましょう♪
韓国のハン・ガン作家のプロフィール&経歴をご紹介!

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生年月日 | 1970 年 11 月 27 日 |
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出身地 | 大韓民国 全羅南道 光州市 |
家族 | 父:ハン・スンウォン(小説家) |
学歴 | 延世大学 国語国文学科 |
ここからは彼女の経歴をご紹介。
著名な小説家ハン・スンウォン氏の娘であるハン・ガン作家は1970年に光州市の外れの鉄道の隣の借家で生まれ、9歳の時に上京しました。
幼い時から家具の代わりに、あちこちに本が散らばっていた家で育ったという彼女。
幼いころから日が暮れるのも忘れて、本を読みふけっていたそうです。
彼女の父であるハン・スンウォン氏の人間の内面に切り込む鋭い文章が、その頃から彼女を鍛えたのかもしれませんね。
父である小説家のハン・スンウォン氏は1939年に全羅南道の長興(チャンフン)で生まれ、1968年に登壇。
長編小説や詩集などを出版しました。
ハン・スンウォン氏は娘のハン・ガン作家について過去のインタビューで『幼い頃から本を読んで、暗い部屋で夢想するのが好きだった』。
『高校の時は英語が得意だったので英文科に行けと言ったが、小説を書くと言って国文科を選択したと思ったら延世大学の国文科に首席合格した』と述べたそうです。
延世大学の国文学科を卒業した彼女は出版社に入社。
その後、1993年に文芸誌「文学と社会」冬号に詩4編を載せて詩人デビューしました。
1994年には短編小説「赤いアンカー」がソウル新聞の新春文芸で当選。
小説家としての道を歩み始めました。
1995年には初の小説集「麗水の愛」を出版。
その後、職場を退職しました。
韓国のハン・ガン作家の受賞歴がとにかくすごい!

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「今日の若い芸術家賞(2000)」「ファン・スンウォン文学賞(2005)」「マラパルテ文学賞(2017)」「キム・ユジョン文学賞(2018)」「サンクレメンテ文学賞(2019)」「大山文学賞(2022年)」など数多の受賞キャリアを誇るハン・ガン作家。
ここからはハン・ガン作家の華麗なる受賞キャリアの一部をご紹介していきたいと思います。
それでは見ていきましょう!
2005年に「蒙古斑点」でイ・サン文学賞受賞

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2005年には審査委員7人全員一致で「蒙古斑点」がイ・サン文学賞を受賞しました。
イ・サン文学賞とは作家であり、詩人のイ・サンの優れた文学の業績と精神を称えるために作られた文学賞。
毎年最も優れた作品を発表した作家が受賞するのですが、中編・短編小説においては韓国で最も権威のある文学賞と見なされています。
イ・サン文学賞の歴史上、1970年代生まれの作家として初めてハン・ガン作家は受賞。
その他の1970年代生まれの文人とは異なり、慎重な文章と思慮深い世界認識で1993年の登壇以降、早くから「次世代韓国文学を担う一人」として注目されることとなりました。
ちなみに、ハン・ガン作家の父であるハン・スンウォン氏も1988年に「海辺の旅人」でイ・サン文学賞を受賞。
イ・サン文学賞の父娘受賞記録も持っているんです。
すごい親子ですね!
2016年に「菜食主義者」でマンブッカー国際賞を受賞

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2016年には日本でも知名度のある作品「菜食主義者」でこの本を英語に翻訳したデボラ・スミス氏と共にマンブッカー国際賞の受賞者に選ばれました。
マンブッカー国際賞は世界3大文学賞の一つと言われているイギリスの権威ある文学賞。
ちなみに日本人では現時点で受賞者はおらず、作家の小川洋子氏と川上未映子氏が最終候補に選ばれています。
このマンブッカー国際賞を受賞したことで、ハン・ガン作家の名前は国際的に知られるようになりました。
また、「菜食主義者」ではスペインのサンクレメンテ文学賞も受賞しています。

韓国のハン・ガン作家 ノーベル文学賞受賞の理由とは?

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ここからはハン・ガン作家がノーベル文学賞を受賞するに至った理由について解き明かしていきたいと思います。
もともとハン・ガン作家のノーベル文学賞受賞を予測する人は少なく、ノーベル賞を受賞するにはまだ若いという評価も多かったそう。
ノーベル文学賞受賞者を予測するイギリスの有名なオンラインベッティングサイト「nicer odds」でも圏外とされていたようです。
受賞者の発表後、東亜日報の記者と電話で話した父親のハン・スンウォン氏も『唖然とするくらい全く予想できなかった』と述べたそう。
『本人に確認してみなければ。良いことだけど、良いことなのか分からない』と言って、何度も事実なのかを問い返したほどだったそうです。
スウェーデンのアカデミーはハン・ガン作家をノーベル文学賞の受賞者として選定した理由について、「ハン・ガンの作品は歴史的トラウマに向かい合い、人間の弱さを露呈する強烈な詩的散文だ」と述べました。
「ハン・ガンは作品の中で歴史的トラウマと、見えない規則に向き合い、作品ごとに人間の軟弱さを表わしている。彼女は肉体と魂、生者と死者の間の連結に対する独特な認識を持っており、詩的で実験的なスタイルで現代散文の革新家になった」とも続けています。
人間の暴力性とそれに伴う人生の悲劇性を執拗に探求し続けてきた作家と言われるハン・ガン作家。
人間の暴力的本性を暴いた「菜食主義者」、光州事件の傷を癒した「少年が来る」、済州4・3事件の悲劇を取り上げた「別れを告げない」など韓国の特殊性を越え、世界中から共感を得ているというのがハン・ガン作家がノーベル文学賞を受賞するに至った理由と言えそうですね。
【まとめ】ノーベル文学賞を受賞した韓国のハン・ガン作家とは?

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今回はノーベル文学賞を受賞した韓国のハン・ガン作家を特集しましたが、いかがでしたでしょうか?
ハン・ガン作家の作品「少年が来る」は2月1週目の時点で韓国でなんと14週連続ベストセラー1位を独占しました。
その他にもハン・ガン作家の作品への関心は高まっていて、さすがノーベル文学賞効果はすごいですね。
日本語に翻訳された作品も多くあるので、ハン・ガン作家に興味を持った方はぜひ彼女の文学を楽しんでみてください!