韓国の就職・転職事情を調査!(30代編)
韓国の30代の就職&転職事情を調査!
前回の記事では、韓国の20代の就職・転職事情をお伝えしました。
今回は、「30代編」をお届けしていきたいと思います。
30代というと、20代とは異なって、結婚したり出産したりする人が増えてくる年代。
家庭を持つという事で、きっと就職や転職事情にも20代とは差が出てきそうですよね。
韓国の30代ならではの事情を探っていきたいと思います!
それでは、早速見ていきましょう♪
始めに韓国の30代の結婚観を下調べ
家庭を持っている人と持っていない人で、働き方への価値観は違うハズ!
ということで、韓国の30代の就職・転職事情を詳しく見ていく前に、まずは就職や転職に影響を及ぼすであろう30代の結婚観から見ていきたいと思います。
韓国では25~49歳の男性の2人に1人が未婚?!
2020年の調査によると、25歳から49歳までの韓国の男性のほぼ半分にあたる「47.1%」が一度も結婚したことがないということが分かりました。
女性の場合は、同じ年齢層では3人に1人の割合となる「32.9%」が未婚です。
これは10年前となる2010年と比べると、男性は11.8ポイント、女性は10.3ポイントも未婚率が増えた結果となります。
10年間でのこの数字の変化は劇的な水準と言えるそう。
通常は年齢層が上がれば上がるほど婚姻率は上がっていくので、男性の25歳から49歳のほぼ半分、女性は3人に1人の割合で未婚ということはそれだけ婚期が遅れているということを示しています。
30代前半の既婚率が急激に減少
ちなみに、以前は結婚適齢期と言われていた30代前半(30歳~35歳)の既婚者が10年前に比べると、最も急激に減ったと言われています。
男女ともにほぼ16ポイント・17ポイントずつ減っていて、35歳以前に結婚したことのある人は男性が3人に1人程度・女性は半分をちょっと超える程度にとどまっています。
分かりやすくするために、本記事内では「バツイチなども含め、男女ともに結婚を経験したことのある人を既婚者」と呼ばせてもらいます。
この既婚者が韓国で確実に多くなるのは35歳以降から。
男性は62.2%、女性は76.7%が35歳から40歳の間までに既婚状態となっています。
女性の婚姻率は20代から男性よりも高い傾向で、49歳になると女性は90.2%、男性は79.5%だけが既婚者となっています。
韓国の男性は35歳から結婚両極化現象が
韓国の男性に関してはここ数年間、30代前半までの婚姻率が低く推移していますが、35歳になると一種の結婚両極化現象を見せています。
所得が上位10%の男性は35歳以降ほぼ100%近く結婚する反面、所得が下位10%の男性は10人に4人は未婚でとどまっているという指摘があるんです。
家族計画は?
韓国というと、2022年の合計特殊出生率が0.78で1人を切り、この数字は1970年以降で過去最低且つ、OECD加盟国の中でも最下位だったというのは記憶に新しいと思います。
実際に、子供がまだ1人もいない49歳までの既婚女性のなかで、子供を持つ計画を持っている人は0.68人。
やはり1人にも満たないんです。
そして、すでに1人目を産んだ女性の場合で、追加の家族計画を持っている人は0.17人。
つまり、2人目を計画する人はほとんどいないということ。
ここまで見ると、韓国の30代が置かれている状況がなんとなく分かってきますね。
韓国の30代の雇用率は?
7月10日に韓国の統計庁が発表した「6月雇用動向」によると、30代の雇用率は79.0%でした。
同月の20代の雇用率は61.6%・全体の雇用率が63.5%だったので、20代や全体と比べると、30代の雇用率はかなり高めとなっています。
失業率を見てみると2.7%で、全体の失業率2.7%と同率となりました。
こちらも20代(6.3%)と比べてみると、かなり低い数字と言えます。
これらの数字を見ると、韓国でも30代になるとある程度腰を据えて働くことができるということかもしれませんね。
女性の雇用率は30代で下降傾向に?!
30代の雇用率で特筆すべきは、男女差がかなりあることです。
2023年6月の30代の雇用率を男女別に見てみると、男性は89.2%・女性は67.8%で確実に男女差が出ていることが分かります。
20代だと、男性は59.4%・女性は63.8%とそこまで差は大きくなく、むしろ女性の方が雇用率は高くなっているほど。
では、どうして30代になると雇用率にここまで男女差が出てきてしまうのでしょうか?
それは出産や育児のために、会社を辞めざるを得ない女性たちがいるから。
韓国経済新聞がOECDの年齢別女性雇用率データを分析した結果、昨年の韓国の35~39歳の女性雇用率は60.5%で25~29歳女性雇用率(73.9%)より13.4%も低いことが分かりました。
これは、OECD加盟38カ国のうち最大の格差。
出産と育児の負担からキャリアをあきらめる女性がそれだけ多いということを表しています。
ちなみに、同じく少子化国家の日本は7.8%の差だったとのことで、OECD諸国の中で格差が最も大きいのが韓国となっています。
韓国の女性雇用率は明確な「M字型」曲線を描いていて、20代前半から20代後半にかけて最高点を記録した後、30代前半から30代後半にかけて徐々に下落傾向に。
そして、40代から50代半ばにかけて再び雇用率が上がり、50代後半~60代前半にかけて下落傾向になるという流れとなっています。
OECD加盟国を見てみると、女性の平均雇用率は20代から40代半ばまで着実に上昇し、その後から折れる流れ。
35~39歳の女性雇用率(76.5%)は、25~29歳の女性雇用率(73.6%)より2.9%高い結果となりました。
こういったデータを基に分析されるのは、女性に重点を置いた育児責任が韓国女性のキャリア断絶を煽っているということ。
統計庁によると、昨年韓国女性のキャリア断絶の理由1位として育児(42.8%)が挙げられました。
次に、結婚(26.3%)・妊娠·出産(22.7%)・家族の世話(4.6%)などが続いています。
育児のために一度退社をした女性たちの中には、子供が学校に入学して、ある程度適応出来た際にはまた働きたいけれど、「경단녀・キョンダンニョ(경력단절여성・キャリア断絶女性の略語)」のレッテルを貼られ受け入れてくれるところがあるか分からないと不安を抱えている女性も多いようです。
30代の共働き夫婦はどのくらい?
2022年下半期の調査によると、30代の共働き夫婦の割合は54.2%で、40代・50代(共に55.2%)よりも比率が低いことが分かりました。
ちなみに、15~29歳は50.1%、60歳以上の夫婦では31.1%が共働きでした。
このように年齢帯によって共働き夫婦の割合が異なる理由については、女性は大学卒業後に就職し、その後結婚したら妊娠と出産によって退職するという現実を反映しているものと分析されています。
そして、労働市場から離脱した後、再び復帰するまでにかかる時間が長くなっており、妊娠・出産・育児によって労働市場から離脱する「キャリア断絶女性」現象は深刻化していると言われています。
例えば、コロナ禍の3年間で女性が職場を辞める「キャリア断絶経験比率」は35.0%から42.6%に跳ね上がりました。
同時に、再就職までにかかる期間は7.8年から8.9年に延びています。
このようにキャリア断絶期間の長期化が深刻化していくと、40代夫婦の共働き比率も下落するという結果を招くだろうと観測されているそう。
実際に女性の家事負担が大きいと言える調査結果があるので、ご紹介したいと思います。
共働きでも女性の方が約2時間家事を多くしている??
共働き夫婦でも女性の方が、男性より家事を133分も多くしているという調査結果が出されました。
統計庁が7月11日発表した「少子化と韓国社会の変化」調査によると、共働き夫婦の家事労働時間(2019年基準)は妻が3時間7分で、夫は54分と調査されました。
妻だけが働いている片働き世帯の場合でも、妻の家事労働時間は2時間36分で、夫(1時間59分)より37分長いというから驚き。
働いているかどうかに関係なく、女性により多くの家事負担がかかっていると言えます。
もちろん、韓国でも家事の負担を同じように分担しなければならないという認識は高まっていますが、実際はそうではないよう。
家事を公平に分担しなければならないと考える割合は、2022年度は64.7%。
2002年の調査結果である45.3%と比べると、19.4%が増えた結果となりますが、昨年実際に家事を公平に分けていると答えた割合は夫が21.3%、妻は20.5%にとどまりました。
30代の女性が出産や育児によって泣く泣く会社を退社しているという現実が見えてきましたね。
そして、キャリアを諦めたくない場合は子供を持たないという選択をせざるを得ないというのが、今の韓国のようです。
韓国の30代の転職率は?
ここからは、韓国の30代の転職事情を見ていきたいと思います。
韓国の統計庁が発表した「2021年働き口移動統計」によると、すべての年齢帯で離職率は増加傾向にありますが、30代の転職率は20代に次いで高く、15.9%であることが分かりました。
しかし、転職率で見ると20代が20.9%で圧倒的に高く、30代以降はほぼ似た水準と見ても良さそうですね。
上の「年齢別働き口移動率」の表を見てみましょう。
紫色で示されているのが「入職率」、オレンジ色で示されているのが「維持率」、緑色で示されているのが「離職率」となります。
転職には30代ならではの悩みも・・
30代の転職には、30代ならではの危機感があるよう。
それは、今が人生の方向を大きく変える最後のチャンスだということ。
転職を考える30代がよく口にする言葉として、『今じゃないと』『10年働いたから、次は・・』などがあります。
確かに、日本でも転職するなら30代のうちという認識や焦りがなんとなくあるように思います。
韓国・日本関わらず、同じような危機感があるんですね。
また、『新入社員の時に見ていた30代半ばの先輩たちと、今の自分たちの役割は違うと思う』と深刻に転職に悩んでいる30代もいます。
これは会社の組織が変わりつつあることも一因のよう。
各企業は公開採用をなくして、新入社員を採用しない傾向にあります。
しかも企業文化も水平的に変わっているため、会社に入社して日が浅いキャリア職の人を後輩と言うのも曖昧です。
以前の30代半ばが組織の中間管理者だったとすると、最近は実務者に近いというのが事実。
新入社員のように一線で一生懸命頑張るという年齢ではないのに、新入社員の時にしていたことをそのまま続けているから仕事が退屈になったと言っても理解できますね。
ただ、30代の中でも自分が何を重視しているかによって、転職への価値観はまちまち。
「ワーク&ライフバランスが取れた人生を送るべきか?」「仕事での成功を追求すべきか?」「成功を追求するなら組織の中でやるのか、それとも独立してやってみるのか?」など、ある程度職務経験を重ねて現実を知っている30代だからこそ、自分に問いかけながら転職を悩んでいるようです。
スタートアップ企業への転職を望む30代が多い?!
30代のスタートアップ企業への転職関心度合が他の年齢に比べて高いことが分かりました。
ジョブコリアとアルバモンが共同で、20代以上の男女の会社員1,558人を対象に「スタートアップ転職関心度」を調査した結果、10人中3人はスタートアップ転職に関心があると回答しました。
年齢別に見てみると、30代会社員のうち35.2%が、40代以上の会社員の間では31.2%がスタートアップ企業に勤務することを希望すると回答。
反面、20代の会社員ではスタートアップ企業への転職を希望する人が27.9%で、意外にも他の年齢に比べて低いことが分かりました。
20代の希望者が少ない理由としては、スタートアップ企業の場合、新入社員または経歴の浅い新社会人よりかは一人でも職務を完全に遂行できるキャリア採用を好むため、20代が考えるにはハードルが高いと見ているのだろうと分析されています。
それでは、スタートアップ企業への転職を希望する人は、スタートアップ企業のどのような面に魅力を感じているのでしょうか。
最も多い回答としては、「成長の可能性」が65.1%で1位となりました。
これは全年齢層で1位となった回答で、『成長の可能性が高そうだからスタートアップ企業で働いてみたい』と多くの人が答えました。
その次には「会社の雰囲気が若くて自由そうだから(56.0%)」「学閥やスペックなどに大きくとらわれないだろうから(29.9%)」「在宅勤務・フレックス制など勤務形態が柔軟だろうから(28.0%)」「水平的でいわゆる古臭い企業文化がなさそうだから(22.1%)」などが続きました。
スタートアップ企業への転職を求める人は、従来の企業とは違う企業組織や文化の若々しさに魅力を感じているようですね。
【まとめ】韓国の就職・転職事情を調査!(30代編)
今回は、韓国の30代の就職・転職事情を見てきましたが、いかがでしたでしょうか?
20代とは生活背景が異なってくることでの雇用率の特性などもあり、興味深かったですね。
次回は、30代とはこちらも生活背景の異なる「40代編」をお届けしたいと思います。
一体、韓国の40代の就職・転職事情にはどんな特性があるのか楽しみですね!
それでは、次回もお楽しみに~♪