韓国の大学トップ3【SKY】とは?ドラマ「SKYキャッスル」でも描かれた日本よりも厳しい【受験戦争】
2024年9月末に終了した日本リメークドラマ「スカイキャッスル」により、富裕層の受験に対する意識が注目を浴びました。日本版では高校受験のようすが描かれていましたが、原作の韓国ドラマ「SKYキャッスル~上流階級の妻たち」は、大学受験にスポットが当たっています。
韓国の大学受験は過酷というイメージがあるように、それは、それは……大変のようです。
今回は、「韓国版センター試験」と呼ばれる大学修学能力試験や、韓国の最難関大学「SKY」とは一体何なのかを紹介していきます。
「韓国版センター試験」と呼ばれる【スヌン】とは?
韓国の受験を語るうえで、欠かせないのが「スヌン(수능)」です。スヌンの正式名称は「大学修学能力試験」。韓国版センター試験とも呼ばれ、受験生にとっては、人生をかけた1日となります。2024年は、11月14日木曜日に実施されます。
日本もそうかもしれませんが、韓国の受験生(ここでは高校3年生)は早朝から夜まで学校で勉強するイメージがあります。お弁当を3食分用意するなんていうことを聞いたことも……。
【スヌン】ならではの光景
スヌン当日は、国全体が受験生を応援します!日本ではあまり見られない、スヌンならではの光景を3つ挙げたいと思います。
試験会場は後輩や先生、親でごった返す!
スヌンは午前8時台から午後5時すぎまでかかります。まず、受験生が会場入りする際、家族はもちろん、後輩や先生が応援に駆けつけます。なので、会場の外は受験生の身内で混雑します。そして、親たちは子どもが試験会場に入ると、寺院や教会に出向いて、試験が終わるまでわが子のために祈りをささげます。
遅刻しそうな受験生を会場まで送る警察
これは日本のメディアでもたびたび取り上げられているので、見たことがある人もいるのではないでしょうか。試験会場に遅刻しそうな受験生をパトカーや白バイが送りとどける姿は、韓国ならでは。それだけ、街や社会全体が受験生を応援し、支援しているということです。
リスニングの時間帯は飛行機&公共交通機関が全面ストップ?
これもスヌンの“名物”です。英語のリスニング試験の時間帯は、韓国全域にて飛行機の離発着が禁止となります。騒音によってリスニングを妨げないように実施されるものです。飛行機のほかにも、路線バスや自動車は徐行運転で受験生に配慮します。日本では考えられない規制ですよね。わたしも最初聞いたときはびっくりしました。
【番外編】芸能人の試験会場入り
芸能人にも当然ながら受験生がいます。芸能人が試験会場入りすると、カメラマンや記者が待ち構えていて、それがニュースになります。アイドルグループであれば、メンバーも応援に駆けつけます。
また、芸能人が受験生を応援する動画をアップすることがあります。SNSでも、こぞって受験生への応援メッセージが投稿されます。
韓国のトップ3と呼ばれる大学【SKY】とは?
韓国ドラマ「SKYキャッスル~上流階級の妻たち」のタイトルにもあるように、トップ3と呼ばれる大学を「SKY」と呼びます。「SKY」について説明していきますね。
S=ソウル大学校(서울대학교)
ソウル大学校は、日本でいう東京大学に相当します。1946年に創立された4年制の国立大学です。キャンパスは、冠岳キャンパスと蓮建キャンパス(ともにソウル特別市)があります。
文系、理系、芸術系など学部・学科も多岐にわたり、政界や財界、研究者など多くの著名人も輩出しています。
芸能人にも卒業生が多くいます。たとえば、俳優キム・テヒ(衣類学科卒)、俳優イ・ハニ(国楽科卒)、ミュージカル俳優KAI(声楽科博士課程修了)、BTS(防弾少年団)を世に送り出したパン・シヒョク氏(美術学科卒)などが有名ですね。
K=高麗(コリョ)大学校(고려대학교)
高麗大学校は、1905年に創立された4年制の私立大学です。キャンパスは、安岩キャンパス(ソウル特別市)と世宗キャンパス(世宗特別自治市)があります。
学部・学科は文系を中心に、理系、スポーツ系などが存在します。ソウル大学校同様、たくさんの著名人を輩出しており、元サッカー選手のホン・ミョンボ(洪明甫)や元フィギュアスケート選手のキム・ヨナ(金姸兒)といった一流スポーツ選手も卒業生に多い印象ですね。
Y=延世(ヨンセ)大学校(연세대학교)
延世大学校は、1885年に創立された4年制の私立大学です。キャンパスは、新村キャンパス(ソウル特別市)と国際キャンパス(仁川)、未来キャンパス(江原道原州市)があります。
学部・学科はソウル大や高麗大と同じく、文系、理系、芸術系などさまざまで、グローバルな学部も目立ちます。
著名な卒業生には、NiziU(ニジュー)を手がけた歌手兼プロデューサーのJ.Y.Park(地質学科卒)や歌手HORAN(フランス語フランス文学科、心理学科卒)などがいます。また、野球部やサッカー部も強く、多くのスポーツ選手を輩出しているようです。
延世大学校の語学堂(朝鮮語の教育機関)は、留学生にも人気が高いので、「延世大学に留学していた」という話を聞いたことがあるかもしれませんね。実際、日本人留学生も多くいます。
ちなみに延世大学校と高麗大学校は、日本の早稲田大学と慶應義塾大学のように、古くからのライバル関係にあることが知られています。
ほかにも、名門大学といわれる大学には、ドラマからも有名になった成均館(ソンギュングァン)大学校、お嬢さま学校といわれる梨花(イファ)女子大学校、留学生にも人気の漢陽(ハニャン)大学校、慶熙(キョンヒ)大学校、芸術系では駅名にもなっている弘益(ホンイク)大学校(弘大/ホンデ)、進学する芸能人も多い東国(トングク)大学校などがあります。
過酷な受験戦争による社会問題
韓国ドラマ「SKYキャッスル~上流階級の妻たち」は、超学歴社会の厳しさと教育熱の実情を、高級住宅街に住むセレブたちの姿を通して映し出しています。富と名誉、権力を手に入れた彼らが、わが子の合格のために奮闘し、ときには不正までを犯してしまう……。そして、親子間や友人間での葛藤(かっとう)も細かく描かれています。
ドラマはフィクションなので、普通ではあり得ない展開ではあるのですが、超一流大学に進学することを強いられた受験生が、ひどくプレッシャーを感じて健康被害に至ってしまうことが、実際に社会問題にもなっています。ドラマはこの実態に警笛を鳴らしてもいるのです。
【まとめ】韓国の大学トップ3【SKY】とは?ドラマ「SKYキャッスル」でも描かれた日本よりも厳しい【受験戦争】
大学修学能力試験(スヌン)にまつわる文化や最難関大学「SKY」について見てきました。遅刻しそうな受験生を警察官が送ってくれたり、英語のリスニングでは飛行機の離発着が禁止されたり、スヌンならではの光景が見られます。
わたしも「SKYキャッスル~上流階級の妻たち」を見て、一部かもしれませんが、親の受験にかける思いが子どもを苦しめてしまうこともあると、改めて理解しました。
超学歴社会のなかにある問題として、近頃は学校や社会が心理的サポートをするケースもあるようです。そういう動きがもっと広がってほしいと感じますよね。それは、日本も同じかもしれません。