韓国映画に異変!韓国映画界の危機が叫ばれている理由とは?!
韓国映画に興行危機が叫ばれている!?
日本では、日本映画界の衰退が長く叫ばれていますが、韓国映画には皆さんどんなイメージを持っていますか?
韓国映画は面白いし、クオリティも高いし、国民にも愛されているので、衰退とは無縁だろうと私自身思っていました。
しかし、韓国映画もここ最近は興行危機が叫ばれているんです。
意外ですよね!
そこで、今回は韓国の映画界に今何が起こっているのかを調査していきたいと思います。
それでは、早速見ていきましょう♪
今年、損益分岐点を超えた映画はわずか4作品
損益分岐点とは、「売上と費用がまったく同じ金額、つまり利益がゼロになる売上」のことを言います。
映画でいう損益分岐点とは「投資した製作費を観客数に換算した数値」。
そして、損益分岐点を超えるとは、投資した製作費を収入(観客数)が上回ること。
つまり、映画として利益が出たことを意味します。
この損益分岐点とは映画界にとっては非常に重要な指標の一つで、いわゆる映画の興亡盛衰を分ける重要なものとなっています。
製作会社が投資した一編の映画が損益分岐点を越えられず資本を回収できない、いわゆる「失敗」を経験することになると、次の作品にまで悪影響を及ぼすことになり、この悪循環は持続する可能性があるからです。
今年も多くの韓国映画が上映されましたが、なんと現時点で利益が出ている映画が4作品しかないというから驚きですね!
今年上映作品の中で、損益分岐点を超えた4作品がコチラです。
・『犯罪都市3』
・『密輸』
・『眠り』
・『30日』
135億程度の製作費が投入され、劇場観客損益分岐点は180万人と推算された『犯罪都市3』は1,068万人の観客を動員。
映画公開からわずか3日で損益分岐点を突破するという記録を作り上げました。
7月に公開された『密輸』は514万人の観客を集め、約400万人と推算された損益分岐点を突破。
夏の韓国映画市場競争作の中では唯一、損益分岐点を越えた作品となりました。
『眠り』は損益分岐点が80万人と推定されたところを149万人、『30日』は160万人と推定されたところを208万人動員しています。
『コンクリートユートピア』が追加となる可能性も・・
前回の記事では、11月13日時点の「2023年韓国映画興行ランキング」をご紹介しました。
その中で、3位となった『コンクリートユートピア』。
3位の作品でも利益を出せてないのかと結構驚きですよね。
385万人を動員した『コンクリートユートピア』の損益分岐点は400万人で、ほぼ目前まできているという水準。
この他にも日本で公開が決まっているなどの海外販売分にIPTV・動画配信サービスなどの付加サービスで創出される金額を加えれば、損益分岐点にほぼ近い収益を上げたと見られています。
これから付加サービスで伸びていけば、一歩遅れて損益分岐点を越える余地もあるとのことです。
韓国映画の興行が苦戦している理由とは?
大幅に上昇した映画観覧料も理由として挙げられていますが、コロナパンデミック以降の生活パターンの変化も大きいよう。
最近は、韓国の20~30代の若者たちが余暇を楽しむ場所として「映画館」の代わりに「美術館」が浮上しているという声も聞こえてきます。
ここ数十年間、多くの人々の頭の中で映画館は最高の遊び文化として認識されていましたが、コロナパンデミックと急激なメディア環境の変化で、大衆は他の遊び文化探しに乗り出しているというわけです。
メディア環境の変化とは、NetflixやDisney+などの動画配信サービスが完全に日常生活に定着したこと。
皆さんの生活にも同様のことが言えますよね。
今や劇場映画はこれらによる多くのドラマやシリーズものと競争する状況に置かれています。
過去は映画館に行って、そこで見たい映画を選んでいましたが、コロナパンデミック以降は観客が「映画館で見る映画」と「動画配信サービスで消費する映画」を区分して映画館に行く傾向に。
確かに私自身も「劇場で見たい映画」と「動画配信サービスに上がったら見ればいいや」という作品を分けて考えているように思います。
また、マンネリ化も韓国映画の苦戦理由の一つとして挙げられています。
一つのヒット作が生まれると、それに追随した作品が次々と生みだされるという状況下で、わざわざ映画館に観に行かなくても良いと思う人が多いようです。
一方で、日本のアニメーション映画は好調?
苦戦を強いられている韓国映画界ですが、日本のアニメーション映画に関しては好調という現象を見せています。
なぜ韓国の観客は韓国映画の代わりに、日本のアニメーション映画を選ぶのでしょうか?
韓国でヒットした日本のアニメーション映画の共通点は「映画館で見たい映画」。
今年、韓国で公開された日本のアニメーション映画でいうと、今年3月に公開された新海誠監督のアニメーション映画『すずめの戸締まり』は550万人の動員数を突破し、韓国公開の歴代日本映画の中で最高興行作となりました。
そして、今年の初めに公開された『THE FIRST SLAM DUNK』の動員数は477万人でこの2作を合わせると、日本のアニメーション作品2作だけで1,000万人の観客を超えたことに。
この2作品の動員数がここまで伸びた理由は、スマートフォンやテレビ画面では満足できないと思わせる映像美や迫力のためです。
人々が「映画館で見る映画」と「動画配信サービスで消費する映画」を区分するようになった中で、この2作品は「劇場で見る映画」として、うまくハマったというわけですね。
韓国映画『30日』が韓国映画の今後を導く??
2023年韓国映画興行ランキングで第4位の『30日』は、コロナパンデミック以後に封切りし、観客数が200万人を越えた韓国映画の中で最も製作費の規模が小さな映画です。
200~300億ウォン台の製作費が投入された映画が相次いで苦境を味わっている中、わずか57億ウォンで製作された映画が成功を収めたという点で『30日』の注目度は凄まじいことに。
そして注目に値すべき点はそれだけではなく、『最も普通の恋愛』以降、4年ぶりに損益分岐点を達成したロマンティック・コメディ映画ということで、ロマンス・メロジャンル映画は商品性がないという既成概念まで覆したんです!
これだけの成功の陰には、もちろん主演俳優のカン・ハヌルとチョン・ソミンの熱い演技も一役買っていますが、SNSやTouTubeの映画チャンネル映像を見て劇場で見るかどうかを決める若者たちの心をしっかり掴んだという点も大きいようです。
莫大な製作費をかけた大作が「映画館で見なくてもいいや」と振り落とされる中、『30日』が選ばれた理由としては、重苦しい現代の韓国社会の雰囲気の中で、気軽に見れるラブコメディが選ばれやすかったという点もある模様。
2023年韓国映画興行ランキング8位にランクインした『甘い:7510』も同様の傾向を見せていて、韓国の映画業界では製作費が比較的少ない小~中規模映画の可能性に目をつけ始めました。
業界内では規模が小さくてもストーリー構造がしっかりした映画への需要が高くなり、とある関係者からは『最近、投資家たちはジャンルを問わず小規模だけどストーリーがしっかりした映画を探そうとしている』という声も聞こえています。
大作と言われる作品が製作費を多く掛けてもそれに相応する観客数を確保できない事例が多くなっている中、リスクを減らすという意味でも小~中規模映画に注目が集まっているわけですね。
【まとめ】韓国映画に異変!韓国映画界の危機が叫ばれている理由とは?!
今回は、韓国映画界が迎えている新たな局面を紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
絶好調に見える韓国映画界も難しさに瀕しているとは意外でした。
しかし今後、小~中規模映画が増えることでこれまで見たことのないような新たな韓国映画に出会えるかと思うと、それはそれで楽しみですね!
これからも韓国映画界を追っていきたいと思います☆