韓国の年金制度ってどうなの?日本との違いや中身を調査してみました!
韓国の年金制度ってどうなの?
日本でも年金事情は頭の痛い問題です。
「老後2,000万円問題」なども沸き上がり、老後を考えると心配が尽きないという人も多いのではないでしょうか?
一体何歳まで仕事をし続けないといけないんだろうと思うと、先行き不安ですよね。。
それでは、韓国の年金制度はどうなのでしょうか?
日本同様若者は不安を抱いているのか、それとも状況が違うのか、気になりますね。
今回は韓国の年金事情を調査してみました。
年金というと、取っ付きにくいと思う方もいるかと思いますが、分かりやすく解説していきたいと思います!
韓国の年金制度の歴史を見てみましょう
韓国の年金制度の歴史を見てみます。
・1973年:国民福祉年金制度が導入されるも、オイルショックの影響で施行が延期。
・1986年:国民年金制度に改称。
・1988年:施行開始
・1992年:当初は10人以上の事業体従事者を対象としていたが、5人以上の事業体従事者に対象を拡大。
・1995年:農漁村地域の住民と都市居住の農漁民まで対象を拡大。
・1999年:適用対象から除外されていた都市地域住民まで対象を拡大。
制度施行後、わずか11年足らずで国民年金制度を全国民に拡大適用しました。
これは、世界でも類を見ないスピードだそうです。
なるほど、韓国の年金制度は短期間で作り上げられたものなんですね。
日本の年金制度施行は1961年なので、韓国の年金制度は日本よりは歴史が浅いということになります。
韓国の年金制度を詳しく解説
韓国の年金制度には、「国民年金」と「特殊職域年金」があります。
それぞれの違いを見てみましょう!
特殊職域年金
特殊職域年金とは、下記のような年金を総称したものです。
・公務員年金
・私立学校教職員年金
・軍人年金
・別定郵便局職員年金
保険料は?
それぞれの保険料を見てみましょう。
・公務員年金:18%(本人9% + 国家9%)
・私立学校教職員年金:18%(本人9% + 私学9%)
・軍人年金:14%(本人7% + 国家7%)
・別定郵便局職員年金:18%(本人9% + 国家9%)
国民年金
特殊職域年金に加入していない18才以上60才未満の国民は国民年金の加入対象です。
会社に勤務している場合、国民年金への加入は勤労者の権利であり、雇用者側にとっては義務となります。
社員を1人以上雇用している全ての事業所は義務的に加入しなくてはなりません。
こうやって聞くと、日本の厚生年金のような感じですね。
2022年7月時点での韓国の国民年金加入者は約2,230万人です。
アルバイトやパートの場合は?
アルバイトやパートの場合は、雇用期間が1か月以上で勤労時間が月60時間以上だったり、1か月間の所得が220万ウォン(2022年基準)以上の場合は、事業場加入者として加入する必要があります。
日雇い労働者の場合は1か月以上勤務し、1か月間で8日以上または60時間以上勤務しているか、1か月間の所得が220万ウォン(2022年基準)以上の場合、加入が必要です。
保険料は?
基準所得月額の9%です。
雇用者と加入者で、4.5%ずつを負担する計算となっています。
日本の厚生年金保険料率は18.3%で固定されているので、日本より保険料率は低いんですね。
何歳から年金を受け取れる?
韓国の国民年金は出生年度によって年金受領年齢が変わります。
下の図で詳しく見てみましょう!
出生年度 | 国民年金受領年齢 | 早期受領時 |
---|---|---|
1952年以前 | 60才 | 55才 |
1953~1956年 | 61才 | 56才 |
1957~1960年 | 62才 | 57才 |
1961~1964年 | 63才 | 58才 |
1965~1968年 | 64才 | 59才 |
1969年以降 | 65才 | 60才 |
1969年生まれ以降は65才とのことで、現時点で日本と受領年齢は同じですね。
「韓国の年金」日本との違いはある?
専業主婦や学生の扱いに大きな違いがあるんです。
日本では専業主婦は第3号被保険者となり、配偶者が加入している厚生年金制度の財源から一括して国民年金に支払われています。
しかし、韓国では専業主婦は任意加入者となります。
任意加入していない時期は空白期間となり、将来の年金受給金額に影響が出てしまうんです。
そのため、収入がない専業主婦や学生でも将来への備えとして、国民年金に任意加入する人が増えているよう。
2019年時点での国民年金任意加入者数は約33万人。
この内、女性任意加入者は28万人。内訳を見ると、40~50才未満の加入者が10万人、50~60才未満の加入者が18万人とのこと。
多くの専業主婦の方が、将来に備えて国民年金に任意加入していると推測できます。
「韓国の年金」どれくらいの金額がもらえるの?
やはり気になるのは、老後月々いくらもらえるのかですよね。
加入者の多い国民年金を例に見ていきたいと思います。
韓国の国民年金受領額は、加入者の加入期間と納付した保険金額をベースに、所得再分配効果がある全体加入者の過去3年間の平均所得月額(2022年度の平均所得月額268万1,724ウォン)を反映して算出されます。
保険料は、加入者の基準所得月額に保険料率である9%を掛けて、計算されます。
それでは、上記をもとに今年国民年金に新規加入した場合を見てみましょう。
毎月300万ウォンの給料をもらっている人の場合、月の保険料27万ウォン(300万ウォン×9%)をコツコツと支払うと、20年後には月57万5,620ウォン、30年後には月85万9,710ウォンを受け取れる計算になります。
基準所得月額が400万ウォンの場合は、20年加入で月67万6,940ウォン、30年加入で月101万1,020ウォン。
基準所得月額が500万ウォンの場合は、20年加入で月77万8,250ウォン、30年加入で月116万2,340ウォンです。
高所得者でも月100万ウォンを受け取ろうと思うと、大変なんですね。。
国民年金と公務員年金でかなりの差が。。
2019年の国民年金受給者1人当たりの月平均受領額は53万ウォンです。
これに比べて、公務員1人当たりの退職年金受給額は月248万ウォン。
国民年金よりも約4.7倍公務員年金の方が多く受給されている計算になり、韓国では不公平だという論争も起きているそう。
なるほど、韓国で公務員を目指す人が多いのも納得ですね。
しかし、そもそも保険料率が違うので単純比較はできないと思いますが、公的年金の赤字を埋めるために政府補填金として税金が投入されているということもあり、論争は収まらない模様。
国民年金への編入案も出ているようで、今後韓国の年金の枠組みも変わるかもしれませんね。
【まとめ】韓国の年金制度ってどうなの?日本との違いや中身を調査してみました!
韓国の年金制度を見てきましたが、いかがでしたでしょうか?
日本と似た部分もあれば、異なる部分もありましたね。
いずれにしても、日本同様年金だけで老後を生活するのは厳しそうです。。
次回は、韓国の年金制度を取り巻く現況について見ていきたいと思います。