韓国の食卓に欠かせない! 韓国料理テーブルウェア超入門
韓国の食卓に欠かせない!韓国料理テーブルウェア超入門
韓国料理屋さんでご飯を食べる時、金属製の容器やお箸、スプーンなどが韓国を感じさせますよね。チゲが入った黒いお鍋もあります。
今回の記事では、 「韓国料理テーブルウェア入門編」として、私たちが韓国料理屋さんで食事をする時によく見かける食器類についてご紹介します。
なんで韓国料理の器って銀色なんだろう?
どのように使うのが正しいんだろう?
韓国料理のテーブルウェアを眺めているだけでも、 文化的背景や 韓国の人たちが古くから大切にしてきた考え方が見えてきます。
読み終わる頃には、韓国食器を違った角度から見ることができるようになるはず!
韓国の食文化について知っていきましょう!
韓国食器が金属製なのはなぜ?
「韓国食器」と聞いて何を思い浮かべますか?やはり、銀色の食器!
日本の韓国料理屋さんでもしばしば出てくるステンレス製の銀の容器やお箸とスプーン。
これを一番に思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
銀色の蓋が付いたご飯用容器、銀色のコップ、冷麺やカルグクスが入った銀色のボウル、さらに銀色のお弁当箱まであります。
銀色のものもありますが、マッコリ用のやかんやマッコリカップ、さらにラーメンを茹でるお鍋など金色の台所用具も多いです。
そう、韓国といえば 金属製の食器類が印象的ですよね。
では、なぜ金属製の食器類が広く使われているのでしょうか。
それにはいくつかの説があります。
元々、韓国で位の高かった貴族や王家では本物の銀製のカトラリーや食器が使用されていました。戦争など争いが少なからず起こった韓国の歴史の中で、移動中に 破損しない素材の食器類が必要だったそう。
それに加え、 食事に毒を盛られた時に変色することから、暗殺などを防ぐ目的でも銀製食器類が使用されていたそうです。また、移動しながらも繰り返し使用できるものが望まれたため、木製では衛生的に不安があったという説もあります。
今でも金属製の食器類が使用されているのはこの名残りだと言われています。
今では、より安価なステンレス製やスチール製の器が開発され、街の食堂やカフェなどでもそれらが使用されるようになりました。
韓国のお箸は薄かったり、平たくて使いにくいと思ったことがある人もいるかもしれません。それは、金属は重さがあるため、できる限り軽くするために細い形になったそうです。
このような歴史的な背景のほか、純粋に食事が美しく見えるので金属製にしているという説もあります。さらには、キムチなどコチュ(唐辛子)を使用した料理を日常的に食べるので、箸先が赤く染まってしまったり匂いが付きやすい木製よりも金属製が普及したという説もあります。
いずれの説も韓国の文化的背景を考えると腑に落ちますよね。
韓国料理テーブルウェア超入門。韓国の食卓で欠かせない수저(スジョ)とは
さて、私たちが一番よく目にし、よく知っているのがお箸とスプーンですよね。昔ながらの食堂に行くと、机の引出しから自分で取り出すところもあります。
ビビンバを食べる時、純豆腐チゲを食べる時、チヂミを食べる時。韓国好きの皆さんであれば一度は使ったことがあるはずです。
まず、スプーンは韓国語で 「숟가락(スッカラ)」 、お箸は 「젓가락(チョッカラ)」と言い、その2つを合わせて 「수저(スジョ)」と呼びます。
韓国の食堂でスプーンとお箸の両方が必要なときは、お店の人に「수저 주세요(スジョジュセヨ)」と言うと両方をもらうことができます。
日本ではお箸でなんでも食べてしまいますよね。
一方韓国の食卓ではお箸よりもスプーンのほうが重要と言われています。基本的に韓国では、ご飯と汁物はスプーンで食べ、おかずをお箸で食べることがマナーとなっています。
韓国文化に詳しい人や長く住んだことがある人は、スジョの置き方についても日本と違いがあることをご存知かもしれません。まず、一人用の御膳の場合は、御膳の右手前に 横置きします。その時、はスッカラを手前、チョッカラを奥側に置きます。
一方で、韓国料理では大きな鍋や鉄板などを複数人で囲って食事することも多いですよね。このような場合は、スジョは 縦置きになります。この時は、スッカラを左側、チョッカラを右側に置きます。
また、韓国では家族など複数人で一緒に食事することが好まれます。
1つのお鍋や鉄板料理を食べる時は基本的に自分の使っているスジョを使います。
日本のように取り分け用のお箸を用意したり、逆さ箸にして取り分けたりすることは基本的にありません。
韓国ドラマで、親しい間柄の人たちが、自分のスッカラにパンチャンやキムチを載せてあげるシーンを見たことがある人、あるいは韓国の友人と食事する時にそうされた経験がある人もいるかもしれません。
日本では、箸から箸へ料理をわたす「拾い箸」はマナー違反ですが、韓国ではこのようにして 食べやすいよう手伝う文化があります。
スプーンの上におかずを載せてくれることもあれば、大皿にあるチヂミを切り分けるのを箸で押さえて手伝ってくれることもあります。
さらに、サンチュにお肉を包んで渡してくれたり、ジャジャン麺を代わりにかき混ぜてくれたりすることもあります。
このように食事中に他の人を気遣うことは、身内を大切にする韓国の文化が色濃く現れています。
韓国料理テーブルウェア超入門。뚝배기(トゥッペギ)で熱々の料理を食べよう
韓国料理と聞いて思い浮かべる器として、チゲなどが入った黒色の鍋を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。これを 「뚝배기(トゥッペギ)」と呼びます。
目の前にチゲが運ばれてくる時にまだグツグツ煮立ち、食欲が掻き立てられた経験がある人も多いのではないでしょうか。
トゥッペギは、保温性が高く、チゲなどの汁物に適しています。最初から最後まで熱々のまま食べることができるのはトゥッペギの大きな特徴の一つです。
トゥッペギは万能調理器具でもあり食器でもあります。
鍋を火にかけ、そのまま食卓に出すことができるので家庭でも重宝されています。
トゥッペギには大小様々なサイズがあります。
サムギョプサルやポッサムの脇にサービスで出てくるケランチムなどが入った最も小さいものがSサイズ。
純豆腐チゲをメインで食べる時などに出てくる一人用のものがMサイズ。
そして、参鶏湯など鶏が丸々一羽入る大きなサイズのものがLサイズです。
料理の種類やメイン、サブ料理など、それぞれに適したサイズのものがあります。
トゥッペギには持ち手の付いた鍋敷が付属していることが多く、その部分を持って運びます。
容器自体はとても熱いので食べる時に誤って触れてしまわないように注意してくださいね。
色とフォルムが美しい韓国料理テーブルウェア、陶器食器
さてここまで金属製の食器類やカトラリーについてご紹介してきましたが、韓国では歴史的に美しい陶磁器の文化もあります。
韓国食堂に行った時に、陶磁器の器に入ったものを見たことがある人もいるのでないでしょうか。
「白磁」と「青磁」
韓国の陶磁器の歴史はとても長いです。
韓国を代表する伝統陶磁器として最も有名なのが 「白磁」と「青磁」です。
9世紀の新羅時代に中国から朝鮮半島に 「青磁」が伝わったのが最初と言われています。
そこから朝鮮半島では主に身分の高い人たちを中心に親しまれ、独自のものへと変化してきました。
特に10世紀から12世紀頃になると、その翡翠色と呼ばれる美しいブルーの陶磁器が人気を博し、「高麗 青磁」と呼ばれ権力の象徴になりました。
14世紀頃になると、李氏朝鮮によ高麗が滅ぼされたことにより、青磁に替わって 「白磁」が主流となりました。
装飾のない真っ白で丸い形状が特徴で、当時は王族や宮廷のみで使用されていたため一般人にとっては憧れの象徴とされていました。
歴史の中で、国の運営する窯を使って独自の陶磁器文化を育ててきた朝鮮半島でしたが、19世紀にはそれらが廃止されました。
ただその伝統を守るべく、今でも企業や個人の陶芸家などが青磁と白磁を生み出しており、それらはレストランなど少し格式の高いレストランやお茶屋さんなどで今でも使用され世界中の人たちを魅了しています。
【まとめ】韓国の食卓に欠かせない!韓国料理テーブルウェア超入門
今回は「韓国テーブルウェア入門」として代表的なスジョをはじめとした金属製の食器類やトゥッペギ、陶器食器についてご紹介しました。
テーブルや食事シーンを見ているだけでも韓国で大切にされている価値観や考え方が分かります。
長い歴史を経てデザインや見た目は、少しずつ変わってきましたが、根本的な考え方などは現在に至るまで大切にされしっかりと根付いています。
次に韓国料理屋さんへ行く時には、こういった背景を少しでも知っているとより美味しく、楽しくなるかもしれませんね。
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